鹿児島市立美術館担当者インタビュー
鹿児島市立美術館は、1954年(昭和29年)9月に城山の麓、薩摩藩主島津氏の居城であった鹿児島(鶴丸)城二の丸跡地に開館した。1985年(昭和60年)に現在の建物への建て替えを経ながら、長らく地域の芸術文化の振興に寄与してきた。来年で開館から70周年を迎えることを記念し、美術館のロゴをリニューアルするということで、学芸員の前野耕一さんと稲葉麻里子さんにお話を伺った。
―まずは美術館について教えてください。
当美術館は九州でも長い歴史をもつ公立美術館です。鹿児島は、日本の近代洋画の発展に貢献した黒田清輝や藤島武二、和田英作をはじめとした多くの優れた作家を輩出しています。こうした郷土作家の作品を中心に、桜島など郷土の風景を描いた作品や、モネ、ピカソ、ロダンなど西洋の近現代美術の巨匠による作品など「郷土作家」「桜島」「西洋」を収集・保存・展示する美術館として運営しています。
地上2階、地下1階の構成で、1階のエントランスホール吹き抜けの天井ドームは薩摩切子の文様を基にデザインされており美術館の建物の中でも見所の一つです。
―どのような方が来館されますか。
県内外からお越しいただいておりますが、県外や海外の方が鹿児島での観光の目的の一つとして当館の常設展をご覧になられることも多いです。「鹿児島にモネの睡蓮があるんですね!」「これは全部本物ですか!?」と驚かれる方もいらっしゃいます。県内の方は定期的に実施している特別企画展へご来場いただくことが多いかと思います。
敷居が高いというイメージがあるのか、若い方のご来館が少ない傾向にあるため、幅広い層にご来館いただけるよう、1階エントランスの天井ドームの下でのコンサートや地下の市民アトリエを使ったワークショップ等を年間通して開催しています。そのほか、日本の近代洋画界に大きな影響を与えた、地元作家の黒田清輝や藤島武二、和田英作などの魅力も若い世代にどんどん発信していきたいです。
―今回の課題はロゴデザインということですが、現在のロゴについて教えてください。
今のロゴは以前美術館のスタッフが作ったものです。建物の屋根と城山をイメージして作られたと聞いています。印刷物やホームページで使用していますが、それぞれ色合いが微妙に違いますし「鹿児島市立美術館」「Kagoshima City Museum of Art」の書体も揃っていないため、今回を機に一新したいと思っています。
―どのようなロゴデザインを希望しますか?
当美術館は伝統もありますが、これからに向けて親しみやすさや新しさを感じてもらえるデザインを希望します。学芸員としては、大分県立美術館(OPAM)や国立新美術館のロゴが印象に残っています。
横書き、縦書きで利用でき、モノクロでもカラーでも対応可能なデザインをお願いしたいです。ポスターやパンフレット、入館チケット等の紙の広報物やスタッフの名刺のほか、ホームページでの利用を予定しています。また、ゆくゆくはロゴデザインを使ったグッズを展開し、当美術館のミュージアムショップで販売できれば嬉しいです。
大分県立美術館 https://www.opam.jp/
国立新美術館 https://www.nact.jp/
―ロゴの色やモチーフに希望はありますか?
現在のロゴはグリーンを使用していますが、新たなロゴは色も含めて自由に考えていただきたいです。美術館の正面には桜島がそびえていますし、近くには西郷隆盛の銅像もあります。また先ほどお話ししたようにエントランスの天井ドームは薩摩切子をイメージに作られています。そのような鹿児島のモチーフを巧く使っていただくのもいいですし、それにこだわらなくても構いません。
―70周年を意識した方がいいでしょうか?
今回はロゴのリニュアルですので、70周年に捉われず先々まで使えるデザインをお願いしたいです。来年1年間限定で「開館70周年記念」等の文言をセットで利用する可能性もありますので、その点は事前にご了承いただければと思います。
―最後に応募者の方に一言お願いします。
来年の開館70周年を機に新しくロゴを作りたいと考えています。皆さんに親しんでいただける美術館のロゴができることを美術館スタッフ一同楽しみにしています。