株式会社有村屋担当者インタビュー
さつま揚げの歴史は古く、島津家28代当主島津斉彬(なりあきら)公の時代に、琉球との交流が深まり、琉球から伝えられた中国料理の「揚げる」技法が、古来のかまぼこ作り製法に加わって、現在のさつま揚げができたと言われている。琉球のチキアーギがなまって鹿児島では『つけあげ』と呼ばれ、薩摩藩の品質向上の奨励などで次第に専門店も増えていった。今ではその美味しさもさることながら、製品の保存性、栄養的価値と相まって、全国にさつま揚げとしてその名を馳せている。大正元年創業、昭和26年に創立された有村屋株式会社はさつま揚げの製造・販売を行う鹿児島の老舗企業だ。鹿児島市南栄の本社にて管理営業部長の米田泰久さんにお話を伺った。
―本日はよろしくお願いします。まず御社のご紹介をお願いします。
うちの社長いわく、父親である会長から大正元年にはもう店をやっていたよと聞いたらしいのですが、明治時代には製造・販売していたようですので歴史は古く、100年は超えています。社長は鹿児島県蒲鉾協同組合の理事長もやっていますので、自社のみならず鹿児島県全体の「さつま揚げ」の地位向上、ブランド化に努めております。
製造品目はさつま揚げと蒲鉾の割合が8対2で、やはり鹿児島と言えば「さつま揚げ」という事になりますね。商品はほぼさつま揚げメインで、単品から詰め合わせまで含めると約50種類ほどあります。企画物・季節品を含めると100種類を超えますね。製造はこちらの本社工場で行い、販売店舗は鹿児島市内の郡元に本店がありまして、山形屋、仙厳園、鹿児島空港、JR鹿児島中央駅、県外では宮崎山形屋、東京のかごしま遊楽館(さつまいもの館東京店内)に売り場がございます。
それ以外に、全国のスーパーマーケットの九州フェアや鹿児島フェア、父の日フェア、練り物フェアなどに企画として採用いただいたり、関西のいかりスーパーマーケットさんには定番商品として置いていただいております。また、百貨店の催事にも出店させていただいております。
また1975年から海外への輸出もスタートし、アメリカ・カナダ・東南アジア等へ継続的に輸出をしております。
―御社の「さつま揚げ」についてお聞かせください。
鹿児島の味を、安心してお楽しみいただきたい。有村屋はいつもそう思い、長年引き継がれて来た製法を基に製造に取り組んでいます。これを支えているのは食の国際安全規格HACCPシステムを導入した、徹底した品質管理。その裏付けがあって初めて、生の素材や、手仕事にこだわることができるのです。食の楽しさをお手伝いするため、大切なことをきちんと守る。これからも変わらない有村屋のお約束です。
当社のさつま揚げの特徴は材料の良さですね。一般品では国産の材料も使っていますが、大型船でとって、その場で一時加工して鮮度が落ちないようにした状態から、その後にすり身に加工するアラスカ産の洋上すり身というものが、 ハイグレードなんですよ。高級品にはスケソーダラのすり身を使っているわけですけど、その他にも九州沿岸でも獲れるマエソやイトヨリダイも、南シナ海産(ベトナム)のグレードの高いものを使用する事にこだわっております。
すり身と糖度が違うことで、おのずと揚げ色がきつね色になりますし、 鹿児島のさつま揚げは総体的に甘いですから、もっと揚げ色が濃くなるメーカーさんが多いですね。当社にはすり身の味と食感を味わってほしいというこだわりから、素材の持ち味を生かす味付けになっているので甘さが控えられています。
-それでは課題について希望など詳しくお願いします。
定番商品である「さつま揚げ」のパッケージデザインとなります。できれば、採用したものをグレードに応じてリニューアルしたり他の商品にも展開していきたいので、それを意識してもらえるとありがたいと思っています。とりあえず、課題とさせていただく商品は真空包装用ラミネート三方袋を使用、冷蔵保存で賞味期限が30日間のものです。一般品ですので単価は6個入りで200円~250円ですが、高級品や他の商品はもっと高くなります。デザインできる部分は横12.4cm×縦19.7cmの範囲となりますが、商品を見せるとなると限界はあるかと思います。
有村屋ロゴの使用は必須ではありませんが、商品名は「さつま揚げ」という表記でお願いします。ただ、デザイナーさんのお考えで、やはり、会社のロゴマークは出した方がいいということであれば、お使いいただいたデザインで結構です。食品パッケージのデザインだけやっておられる方だけではないと思いますので、既成の概念にとらわれず、いろんな発想の作品をいただけるとありがたいと思います。ただ、デザイン先行ですと食品として必要な要件を逃している可能性もあるので、そこは見させていただきたいと思います。
―ターゲットはどうお考えですか?
通常当社の顧客はヘビーユーザーのリピーターが多いんですよね。ご自宅で召し上がる方もいらっしゃれば、電話注文では「息子がいつも楽しみにしてるんだよね」などと言いながら、ギフトとしてさつま揚げを贈る方が多いですね。しかし今後は新規のお客様にも興味を持っていただき、売り場で手に取っていただきたいと思います。ですから地元の方の他にも、観光客、鹿児島にゆかりのある人、一般消費者とターゲットは幅広くなりますね。
―表記やデザインについてはどうですか?
この商品、一般品は小売りの売価が200円から250円ぐらいなんですよ。高級品は同じような量で380円から400円と価格差もあるのですが、 同じパッケージだとそれが分かりにくくなるんです。高級品のデザインも変えたいのですが、今回の一般品のデザインが決まってしまえば、それをベースに例えば色違いをハイブランド版とする等、作りやすくなるかなと思っています。訴求したいのは、高級品です。
景品表示法上「特上」「特選」「極上」などの差別化を意図する文言の使用に制限がある為、その辺の差別化が出来るようなパッケージデザインを希望しています。
―ありがとうございます。最後に応募者の方々に一言お願いします。
当社の一般品と高級品は結構味が違っていまして、それをデザインでわかるようにしたいと思っています。本気でデザインしていただけるなら、もう本当に食べ比べていただければ、一番いいと思います。
現在当社のオンラインショップでは扱っていないので、ご連絡いただければ一般品と高級品のセットを実費でお送りします。
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