課題担当者インタビュー

坂元醸造株式会社 担当者インタビュー

坂元醸造担当者

鹿児島県霧島市福山町で江戸時代後期より変わらぬ製法を守り続けて造られている「坂元のくろず」。坂元醸造株式会社は、その福山町に「坂元のくろず」の歴史や製法などについて見学できるくろず情報館「壺畑」と黒酢を使った中華料理を楽しめるレストランも併設している。今回は情報館にて、研究開発部 研究開発課 長野万里子さんにアワード課題テーマ等についてうかがった。

坂元醸造イメージ写真1坂元醸造イメージ写真1

―よろしくお願いします。情報館から見える一面の壺畑が圧巻ですね。

長野:壺畑に並べられた壺の中には創業当初から使われている壺も一部残っていて現在も使っています。壺の中に原料の蒸し米、米こうじ、地下水を入れて仕込みます。仕込み後、約半年かけてお酢を造り、さらに半年以上熟成させます。醸造技師たちは毎日、1本ずつ壺を見回り、江戸時代から 続く伝統的な方法で“くろず”を育てています。熟成期間が長くなるほど液色が濃く、味がまろやかになるんですよ。

―なるほど。そんな、長年にわたり伝統的な製法でくろずを造られてきた坂元醸造さんが今回、かごしまデザインアワードへ応募された理由をお聞かせください。

長野:はい。今回、課題テーマにさせていただいた「坂元の梅くろず」は、平成24年の5月ごろから、この情報館のみで販売している商品なんですが、おかげさまでお客様より高評価をいただいております。ただ、商品パッケージに関しては、弊社内でも変えたいという思いがありました。昨年、食品コンクールに出品した際、審査員の方からもパッケージのイメージが醤油などの調味料に見えるとご指摘をいただきました。しかし、社内にはデザインの専門的なスタッフもおりませんので、今回アワードに参加して、いろいろな方からのアイデアやイメージをいただき、パッケージのリニューアルができればと考えていました。

―ありがとうございます。「坂元の梅くろず」の特徴的な部分はどのあたりでしょうか。

長野:やはり何といっても鹿児島の素材である「坂元のくろず」とさつま町産の「薩摩西郷梅」を使用し、鹿児島の素材が融合しているところが一番の売りですね。私は鹿児島出身ではないので、鹿児島の良質の素材を使って、作っているところにとても魅力を感じています。また、梅は青梅を使用しており、仕込みのシーズンは製造課全員で梅の実の処理をしているんですよ。つまようじや剣山などを使って梅の実1つ1つに穴を開けるんです。これは梅に氷砂糖が浸透しやすくするためと、梅のエキスを抽出しやすくするために行っています。販売シーズンは梅の季節、5月頃ですね。前の年につけたものを1年後商品として出荷するという感じです。ちなみに、この「坂元の梅くろず」はJR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」で飲用として、出していただいたりもしています。

―そうなんですね。今後も「坂元の梅くろず」はこちらの情報館のみで販売されるんですか?

長野:販売店舗は主にこの情報館であることは変わらないと思いますが、今後は、鹿児島県のアンテナショップや百貨店などへも広げて行きたいと思っています。ただ、弊社の「坂元のくろず」は薬局チェーン店などでも取り扱いをしていただいておりますが、こちらの「梅くろず」は生産量も限られているので、どこでも販売できるものではありません。デザイナーの皆様にもぜひ一度お越しいただき、この情報館の雰囲気や弊社商品をみていただければ幸いです。

―なるほど。鹿児島の特産品として立ち位置は守りつつ、希少価値で展開していきたいという感じですね。

長野:そうですね。全て手作りで漬け込んで作るため、生産量も限られています。原料は梅、黒酢、砂糖のみで、添加物も一切使っておりません。梅酒とは違いアルコールが入っていないのでお酒の飲めない方にも、この「坂元の梅くろず」をもっと知っていただきたいという思いはあります。ただ、販売先はどこでもという事ではなく、弊社の考えをご理解頂けて、同じ様なスタンスで扱っていただける販路を希望しています。

坂元醸造イメージ写真3

―ありがとうございます。「坂元の梅くろず」はどんな方に手に取ってもらいたいですか。

長野:現状の購入者層は、40代以上の女性の方が中心です。この梅くろずは、合成着色料、保存料は全く使っていません。味は小さいお子様も飲みやすいと思いますので、幅広い世代の方々にも受け入れられると思います。価格や生産規模を考えると、こだわりを持って商品を購入される方、とくに働く独身女性がメインターゲットになるかと思っています。

―なるほど。働く女性がターゲットだとすると、持ち運べる想定はされますか。

長野:飲みながら仕事をがんばる感じというよりは、家でほっとしたい時に飲んでもらうイメージのほうが強いです。そのため、持ち運びやすいデザインや機能性はそこまで求めなくてもいいかもしれません。ゆっくりとリラックスして家で飲むということを考えると、家に置きたくなるようなちょっとお洒落な瓶で、飲み終わった後も何か使えると面白いかもしれませんね。今回は、瓶のデザインも変えてもらっても構いません。例えばですが、仕事から帰って来てお風呂上がりにこの「梅くろず」をソーダ割りにして飲んで頂く、それは冷蔵庫に入っているのではなくワインなどと一緒においてもらえるとか、そんなイメージもいいのかもしれません。

―これは考慮してもらいたいという部分(特に商品製造ライン上のこと)を教えてください。

長野: 弊社の「くろず」の書体とロゴマークと商品説明は入れてください。自社工場で瓶詰めをして、ロールラベラーでラベルを貼るので、瓶は円筒状が望ましいです。円錐のような形状にすると、ラベルを貼る作業が手作業になるため、それはコスト的に難しいですね。

―例えば形状を円錐にして、ラベルは貼らないというのは出来ますか。

長野: 法律的に一括表示は必要なので、ラベルを貼らないということは出来ません。実際に商品化することを想定すると円筒状という条件は必須ですが、飛びぬけた発想・アイデアがあれば、検討したいと思います。

―瓶の色は変更可能でしょうか。

長野: 現在、黒い瓶を使っていますが品質保持上のことで黒を使用しているわけではないので、こだわる必要はありません。透き通って中が見える透明瓶でも大丈夫です。

―キャップは変更できますか。

長野: 現在はヒンジキャップを使用しています。製造ライン上、材質もこれでないと出来ません。ねじるタイプのものや材質が金属とかアルミのものも使用できません。色に関しては、現状ゴールドを使用しておりますが、黒や赤、緑とか色々種類があるので、色はある程度選べると思います。

坂元醸造イメージ写真3

―容量は変えることはできますか。

長野: 現状の200 mlを想定しています。生産量はこの容量で年間1000本程度です。ただ、提案内容によっては検討したいです。

―最後に応募される方々へメッセージをお願いします。

長野:梅といったら、梅の実の熟した感じだったり、梅の花の爽やかなイメージだったりと色々と幅広くあると思います。原料の黒酢や梅にこだわっているので、高級感のあるデザインが提案されることを期待しています。また、「坂元の梅くろず」自体はすでに販売されている商品ですが、このイメージにとらわれず、自由な発想でいろいろなアイデアをお待ちしております。よろしくお願い致します。

―ありがとうございました